光のもとでⅠ
「好きな子のわがままはかわいいよ。どんなことでもね。前にも言ったでしょ? 君にされることならなんでも受けるって……。これもそのひとつだよ」
「……秋斗さん、ごめんなさい――」
 泣いて謝られて――俺、何してるのかな。
 でも、乗り越えなくちゃいけない場所……。
「翠葉ちゃん、どうせなら"ありがとう"って言って?」
 彼女は顔を少し傾け不思議そうな顔をする。
「翠葉ちゃんには"ありがとう"って言ってもらいたい」
「秋斗さん、ありがとう……ございます」
「うん、こちらこそありがとう。これからもよろしくね」
 やっと彼女の身体から力が抜けた。
 今は蒼樹の方へと身体を傾けている。
「少し休むといいよ。俺、今日はこれで帰るから」
 そう言って部屋を出た。
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