光のもとでⅠ
「本当に何もしてあげられてないの……。私、医者なのに――。あと少しで昇が帰ってくる。今は昇の連れて帰ってくるドクターに期待してるだけ。自分じゃ何もできてない」
「……彼女の痛み、そんなにひどいの?」
「ひどいも何も……あんなに痛がってるのに炎症値すら上がらない。ほかの検査にも何ひとつとして引っかからない」
 いつもは勝気な湊ちゃんが珍しく弱音を吐いた。
 少し話していると、彼女の男性恐怖症の話が上がった。
 俺がしたことによって、そこまで人に触れられることに恐怖を与えてしまったのだろうか……。
「秋斗だけが原因じゃない。以前、街でナンパされてるでしょ? たぶん、あっちが根底にあるのね。マッサージをやらせている司にすら右の肩には触れさせないみたいだから。……正直、ここまで引き摺るとは私も思っていなかった。少し安易に考えすぎていたのかもしれない。……何せ、とんでもない箱入り娘なのよ」
 そう言っては苦笑した。
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