光のもとでⅠ
「珍しいよね。湊ちゃん、こういう子はあまり得意じゃないし、どちらかというと嫌いでしょ?」
「そうなのよねぇ……。そのはずなんだけど、どうしてか翠葉は受け入れられる。嫌いじゃないから、好きだから、今のままではいさせたくない。崖から突き落とすことになったとしても強くしたい」
「ずいぶん物騒デスネ」
「あの子、いい子じゃない。ひどく臆病なくせに逃げちゃいけないところは踏まえてる。泣いても目は逸らさない。芯は強いのよ。だからかしらね……。嫌いになれないし、どう成長していくのか見守っていたくなる」
 なるほどね……。
「栞は、ただただかわいいみたいだけどね……。翠葉を養子に欲しいって言い出しそうな溺愛ぶりよ。昇が帰ってきたら真面目にそんな話をしそうで怖いわ」
「あはは。でも、御園生夫妻が手放さないでしょ」
「まぁね」
 栞ちゃんは実家に帰っていると聞いているが……。
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