光のもとでⅠ
 やめてくれ、俺から夕飯を取り上げるのだけは勘弁してくれっ。
「何ごちゃごちゃ考えてるんだか……」
 呆れたような顔をすると、「コーヒータイム」と部屋を出ていった。
 司は厳しいけど、俺の集中力が切れる頃には必ず休憩を入れてくれる。
 そして、司の淹れるコーヒーは秋兄が淹れてくれるそれと同じ味がするんだ。
 もし、すごく仲のいい友達や兄弟、従兄とライバルになったらどんな気持ちになるんだろう……。
 俺には想像ができなくて、でもやっぱり負けたくないと思うんだろうな、などと思ったり……。
 けれども、決定権は好きな子にあるわけで……。
 どこまで自分がその子に近づけるか、っていうか、その子の気持ちを自分に向けることができるか――。
 きっとそういう感じなんだろうな。
 でも、司と秋兄だとタイプが正反対すぎる。
 秋兄はどこまでも積極的で、司は動かなすぎ。
 少なくとも、今の司を見ている限りだと、俺にはそう見えるわけで。
 司は何をどう考えているのだろう。
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