光のもとでⅠ
 あいつに限って何も考えてないわけはないだろうし……。
 ――余裕、なのかな?
 秋兄相手に……?
「海斗、顔が忙しすぎるぞ」
 コーヒーのいい香りと共に、司が立っていた。
「あのさ、司ってすんげぇ余裕だったりする?」
 口にした瞬間にまずったと思った。
 夕飯まではまだ遠い。
 でも、気になって勉強どころでもない。
 俺、今日の夕飯は抜きかもしれない。
 そんなことを考えていると、司は小さなため息をついてデスクへと戻った。
 デスクチェアに座ると、こっちに向き直る。
「それ、テストの話? それともそれ以外?」
 ものすごく嫌そうな顔で訊かれた。でも、尋ねてくるってことは答えてもらえるのかもしれない。
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