光のもとでⅠ
翠を保健室に送り届けると、行きの倍以上の速さで俺たちは歩く。
それが俺たちの普段の速度。翠の歩みは一般的なそれとはずいぶんと異なった。
「翠葉、かなり痩せたな……」
「あぁ……」
「今日の授業に出たら、今学期はもう登校してこないって桃華が言ってた」
「そう」
「湊ちゃんから何か聞いてる?」
「いや」
そんな会話をしただけで二階に着いてしまう。
「次、佐野が迎えに行く予定」
「……わかった」
階段を上がりながら考える。
翠は今頃点滴を打たれていることだろう。
けれど、五百ミリリットルを落とすのには時間が足りない。
時間から考えれば二百ミリリットルかと思う。でも、あの翠の状態なら五百を入れるに違いない。
姉さんのことだ、点滴をさせたままクラスへ戻すだろう。
それが俺たちの普段の速度。翠の歩みは一般的なそれとはずいぶんと異なった。
「翠葉、かなり痩せたな……」
「あぁ……」
「今日の授業に出たら、今学期はもう登校してこないって桃華が言ってた」
「そう」
「湊ちゃんから何か聞いてる?」
「いや」
そんな会話をしただけで二階に着いてしまう。
「次、佐野が迎えに行く予定」
「……わかった」
階段を上がりながら考える。
翠は今頃点滴を打たれていることだろう。
けれど、五百ミリリットルを落とすのには時間が足りない。
時間から考えれば二百ミリリットルかと思う。でも、あの翠の状態なら五百を入れるに違いない。
姉さんのことだ、点滴をさせたままクラスへ戻すだろう。