光のもとでⅠ
「司ー! 次の授業自習だって!」
 教室で嵐に情報をもらう。
 自習、か……。
「……抜け出すか」
「なんか言った?」
 尋ねられて、「何も」と返す。
 俺は自習のプリントを終わらせると、終業チャイムが鳴る十二分前に席を立った。
「は? 司どこ行くん?」
 ケンに尋ねられ、
「野暮用」
「あぁ、トイレか」
 とくに訂正はしなかった。

 廊下に出ると、授業中ということもあり人の気配はなかった。
 自分の歩く音だけが廊下に響く。
 すると、巡回している警備員が渡り廊下からやってきて軽く会釈された。
 俺は無視。
 礼をされる関係ではない。
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