光のもとでⅠ
 俺は藤宮の人間ではあるが、警備員の上司でもなければなんの関係も持たない。
 なんで一学生に礼なんてするんだか……。
 俺を藤宮の人間と意識してこその行動だとは思うが、バカらしくて何を言う気にもならない。
 きっとあの警備員はまだ配属先が決まっていない新人だろう。
 ここ藤宮学園は会長本宅の膝元といえる場所なだけに、ジョブランクの低い人間が配属されているわけではない。
 が、その一方、現場適正の最終判断をする場になっていることも事実。
 この場所で秋兄が仕事をしているのは、最終判断を下すという意味合いもあるらしいけど、全部後付けの理由に思えた。
 自分が学校でのんびり仕事をしたいがために、そんな仕事を請け負った。
 きっと、そんなところ。
< 1,697 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop