光のもとでⅠ
 薬を入れるとすぐにリィの目がとろんとする。
 そして、しばらくすると何事もなかったように疲れきった顔で眠りにつくのだ。
「なんでこんなに痛がってるのに眠らせるような痛み止めでしか処置ができないんだよっ」
 つい、処置室の外で大声をだしてしまった。おまけにゴミ箱にも当たった。
 あんちゃんも同じ気持ちだろう。でも、俺のように感情をむき出しにすることはなく、歯を食いしばって長椅子に座っていた。
 病院では時々夜勤の楓さんと会うことがあった。
「点滴が終わるのは明け方だから、それまでこっちの部屋でふたりとも寝てるといい」
 と、患者用の空いている部屋を提供してくれる。
 眠れるわけじゃない。
 でも、身体を休ませなくてはいけない、と言い聞かせてベッドに横になる。
 こんな日々があとどのくらい続くのか……。
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