光のもとでⅠ
 ……あんた。人のこと心配するならとっととインターハイで優勝して翠葉のお見舞いに行くなりなんなりしなさいよっ。
 生徒会のミーティングですら上の空。
 そんなのあんたらしくもない……。
 早くもとのあんたに戻って翠葉をけしかけるなり怒鳴り散らすなりしてきてよっ。
 藤宮司のポジションってそういうところでしょうっ!?
 自分にできることじゃないから藤宮司にやらせようとしているのかもしれない。
 でも、藤宮司は翠葉の中で特別なポジションにいるような気がしていた。
 翠葉は秋斗先生を好きなのかもしれない。でも、それとは別に、この男には自然と頼っているように見えたし、気を許しているようにも見えた。
 海斗や佐野とは別。秋斗先生とも別。
 翠葉がこの男をどう思っているのかは知らないけど、でも、私たちなんかよりもよっぽど翠葉に近い場所にいる。
 悔しいけど、そう思うのよ――。
 その特権を今使わないでいつ使うのよっ……。
 このまま何もできないで手をこまねいているようだったら、あとで大笑いしてやるんだから――。
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