光のもとでⅠ
 静とこんなふうに話をするのはどのくらい久しぶりだろうか。
「……翠葉ちゃんのことを訊いてもいいか?」
「どうぞ」
「どこが悪いんだ?」
「……どこも?」
「……零樹、いい加減にしろ」
 声が低くて真面目に怖い。
 けど、本当になんて答えたらいいものか……。
「そうとしか答えられないんだ。静は翠葉が発作を起こしているところを見たことがあるか?」
「いや、顔をしかめるくらいに痛がっているところは見たことがあるが……。それでも、まだ自分で歩けるからって抱っこはされてくれなかったな。あれは碧譲りか?」
「いんや、ちょっと違うな」
 静の不思議そうな顔がまた新鮮に思えた。
< 1,742 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop