光のもとでⅠ
「その湊さんですら、最近はお手上げなんです。部屋に入っても存在自体を無視されるって言ってました」
「……なんだかすごいことになってるな」
 先輩は無理に笑みを作った。
 きっと信じられないのだろう。
 でも、あの翠葉を目の当たりにすれば理解してもらえると思う。
 その前に、前置きはしたほうがいい――。
「先輩も、少しでも違和感を感じたらそれ以上は近寄らないほうがいいです」
「わかった……」
 玄関のドアは俺が開けた。
 もう、ドアチャイムが鳴らないように開けることにも慣れてしまった。
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