光のもとでⅠ
 車に乗り込み助手席のシートを直す。
 ここのところ、助手席のシートは倒したままになっていた。
 助手席を見ては桃華を思い出す。
「最近、連絡できてないな……」
 桃華から連絡がくることはあまりない。
 時々メールが来るくらい。
 高校生にしては結構ドライな感じ。
 ドライっていうか、これは桃華の気遣いなんだろうな……。
 先日、佐野くんと一緒に家の前まできたとき、あのときにどれだけひどい惨状なのか、それを察したのだ。
 桃華は年にそぐわないほど気が回る。
 ――桃華の声が聞きたい。会いたい……。
 そのとき、携帯が震えた。
 メールではなく電話……。
 呆然としつつ、慌てて通話ボタンを押す。
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