光のもとでⅠ
「桃華っ!?」
『……蒼樹さん、どうかしました?』
 あれ……?
「電話をかけてきたのは桃華だけど……」
『えぇ、そうなんですけど。なんかすごい勢いで電話に出たので』
「あ……悪い。桃華の声が聞きたくて、会いたいって思ってたら桃華から電話がかかってきたからびっくりしてつい……」
『あら、以心伝心ですか? 嬉しいですね」
 携帯越しに愛しい声が聞こえる。
「これから少し会えないかな……。今はまだ幸倉で、これからマンションに向かうんだけど……」
『はい、大丈夫です。三十分くらいですかね?』
 クスクスと笑いがながらの返事。
「たぶん、そのくらい……あ、でも、会う時間はそんなになくて――」
 瞬時に悩んだ。
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