光のもとでⅠ
「それもわからない……」
『わかりました。何か消化のいいものを作れるように材料を買っておきます。マンションのエントランスで待ってます』
「いや、迎えに行くから家にいて? 買出しは一緒に行こう」
『わかりました。じゃ、気をつけて運転してきてくださいね』
「……桃華、ありがとう」
『いえ、ではまたあとで』
 そう言うと通話が切れた。
 ガサガサに乾燥してしまった心が、一瞬にして潤った気がした。
「……桃華を好きになって良かった」

 車のエンジンをかけ、カーポートから出る。
 道はさほど混んでおらず、安全運転での走行にも関わらず、二十分ほどで桃華の家に着いた。
 携帯で着いたことを告げると、五分ほどして通用門から桃華が出てくる。
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