光のもとでⅠ
 そのまま桃華を抱きしめると、
「蒼樹さん……。ファーストキスの相手が蒼樹さんで嬉しい……」
 消え入りそうな声が耳もとに届いた。
「俺も……。ここに桃華がいてくれてすごく嬉しい……」
 つい、抱きしめる腕に力が入る。
 すると、彼女の腕が背中に回された。
 ――っ!?
 背中をさすられたことに意表をつかれた。
「ずっとつらそうだったから……。何かできないかと考えていたんです」
「え……」
「あら、自覚なしですか?」
 桃華はクスクスと笑って話を続ける。
「大学のカフェで会うとき、いつもすごく疲れた顔をしていたから……」
 反論の余地なし……。
 俺、なんて情けない男なんだろう。
「何も話してくれないし、訊いていいのかもわからなかったし、頼ってくれたら嬉しいけど、何せ私は年下ですからね……。男の人のプライドもあるのかな、って本当に色々考えてしまって……」
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