光のもとでⅠ
「ベランダに出たとき、楓先生と鉢合わせて、そのときの会話を美波ちゃんに聞かれてしまったの。翠葉が具合悪くて幸倉に戻ったのも知っていたみたいだし、なんで母親である私がここにいるんだって怒られちゃった」
 おば様はひどくつらそうだった。
「母さん、とにかく横になったほうがいい。何も食べてないの?」
「食べても戻しちゃうの。もう戻す体力も使いたくなくて……」
「ったく、翠葉みたいなこと言ってるなよな」
 蒼樹さんが身体を支えてソファに横にさせると、
「本当にね」
 と、痛々しく笑った。
 そして、視線は私に向く。
「桃華ちゃんはどうして……?」
「俺、先日から桃華と付き合い始めたんだ」
 蒼樹さんはさらっとそう口にした。
 え……!?
 言わないんじゃなかったのっ!?
 慌てる私に対し、おば様も驚いたように、「そうなの?」と口にした。
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