光のもとでⅠ
 私は全然かまわなかった。けれど、
「そこまでしてもらわなくて大丈夫よ」
 と、おば様に断られる。
「点滴を受けに行くくらいひとりで大丈夫。送ってもらえればそれでいいから」
「母さん、少し人と話して気分転換をしたほうがいい。ひとりになったらまた翠葉のことを考えるだろ?」
 それには同感だ。
「学校での翠葉の話ならいくらでも話せますよ。その代わり、蒼樹さんの小さい頃のお話を聞かせていただけませんか?」
 そう申し出ると、少し沈黙してから「ありがとう」という返事を聞くことができた。
 家の戸締りを済ませ、おば様のバッグを持つとゲストルームをあとにした。
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