光のもとでⅠ
 部屋に入ると、突き当りのベッドで翠は横になっていた。
 以前来たときにはなかった天蓋があり、中の様子は薄っすらと見える程度。
 翠がこちらを見ている様子はない。
「聞こえませんでしたか?」
 まるで人の気配を感じて声を発しているよう。
 後ろ手にドアを閉めると、
「それ以上近寄らないでください」
 そう言って、ようやくこちらに視線をよこした。
 天蓋越しだし身体は布団で見えない。
 でも、間違いなくやつれた。
 衰弱しているのは見て取れるし、すごく疲れているように見える。
 さらには、横になっているというのに、肩で息をしていた。
「どうして出ていかないの?」
「翠、何してんだよ……」
 正直、それ以外の言葉が思いつかなかった。
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