光のもとでⅠ
「何か文句でも? 翠がもてなしてくれるなら待つけど」
「無理なことばかり言わないでっ。早く出てって」
翠は手元にあったものをこちらへ投げやる。
けれど、それらはベッドのすぐ脇に音を立てて落下した。
「物に当たるな、部屋が傷つく。それから出ていけって要求は呑めない。どうやら俺が最後の砦らしいから」
絶対零度と言われる笑みを向けると、ケトルが音をたてて沸騰したことを知らせた。
火を止め、布巾に置かれていたカップに視線を移す。
カップがふたつ――。
「翠も飲む?」
「……いりませんっ」
「あぁ、そう」
わかってはいたけれど、取り付く島はないらしい。
実際、上体を起こしているのもかなりつらそうだ。
ここまでくると、意地、かな……。
それが最後の力の源か――。
「無理なことばかり言わないでっ。早く出てって」
翠は手元にあったものをこちらへ投げやる。
けれど、それらはベッドのすぐ脇に音を立てて落下した。
「物に当たるな、部屋が傷つく。それから出ていけって要求は呑めない。どうやら俺が最後の砦らしいから」
絶対零度と言われる笑みを向けると、ケトルが音をたてて沸騰したことを知らせた。
火を止め、布巾に置かれていたカップに視線を移す。
カップがふたつ――。
「翠も飲む?」
「……いりませんっ」
「あぁ、そう」
わかってはいたけれど、取り付く島はないらしい。
実際、上体を起こしているのもかなりつらそうだ。
ここまでくると、意地、かな……。
それが最後の力の源か――。