光のもとでⅠ
あと少し――あと、もう一息。
「……壁紙変えてやろうか? それとも空調止める? この季節かなり暑いと思うけど。熱中症になっていいならそうする。たまになら、俺が屋外に連れ出すけど?」
一瞬、翠は戸惑った表情を見せた。
「別に無理なことじゃない。それで病院へ行ってもらえるならお安いご用」
さも、なんてことないように話す。
「先輩、本当にムカつく……」
これは本音なのだろう。
「……嫌い……嫌い、大嫌いっっっ」
正直、正面切って本音でこの言葉を言われるのはきつかった。
けれど、そんなことは悟らせない。
「翠、理系なのは認める。でも、悪口雑言の語彙が少なすぎ。そこの国語辞書取ってやろうか?」
棚に置かれていた辞書を指し示すと、
「……嫌い嫌い嫌いっ。ムカつく、出てってっ。入ってこないでよっ、部屋にも、心にも――」
手にした布団をぎゅっと握りしめ、最後は搾り出すように声にした。
「……壁紙変えてやろうか? それとも空調止める? この季節かなり暑いと思うけど。熱中症になっていいならそうする。たまになら、俺が屋外に連れ出すけど?」
一瞬、翠は戸惑った表情を見せた。
「別に無理なことじゃない。それで病院へ行ってもらえるならお安いご用」
さも、なんてことないように話す。
「先輩、本当にムカつく……」
これは本音なのだろう。
「……嫌い……嫌い、大嫌いっっっ」
正直、正面切って本音でこの言葉を言われるのはきつかった。
けれど、そんなことは悟らせない。
「翠、理系なのは認める。でも、悪口雑言の語彙が少なすぎ。そこの国語辞書取ってやろうか?」
棚に置かれていた辞書を指し示すと、
「……嫌い嫌い嫌いっ。ムカつく、出てってっ。入ってこないでよっ、部屋にも、心にも――」
手にした布団をぎゅっと握りしめ、最後は搾り出すように声にした。