光のもとでⅠ
「じゃ、全部飲んで……。そしたらここを出よう」
 途端に手が震え出す。
「……いいよ。泣き言でも八つ当たりでも、毎日聞いてやる。怖いなら治療だって立ち会う。だから、前に進め」
「……みんなになんて言おう……」
 泣きはらした目で見てくるから、余計にウサギを彷彿とさせる。
「間違ったことをしたときは?」
「ごめんなさい……?」
「そう、それで解決」
「……でも、まだ無理そう……。ひどいことを言うのは嫌……」
「……わかった。それまでは俺が全部引き受ける」
「……また、余裕がなくなったらひどいことを言うかもしれない。……それでも?」
「だから、いいって言ってるだろ? その代わり、俺だって言いたいことは言わせてもらう」
 少しだけ、翠が笑った気がした。
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