光のもとでⅠ
秋兄の車に乗り、
「何か話しでも?」
助手席に置いてあった封筒を手に取りシートベルトに手をかける。
同じようにシートにおさまった秋兄が、「その封筒」と俺が手にした封筒を見ていた。
「あぁ、何、これ」
言いながら中を見ると、
「……何、これ――」
中に入っていたものは人の髪の毛にしか見えなかった。
「翠葉ちゃんの左サイドの髪の毛……。長さにして五十センチ弱。俺が切らせてしまったもの」
秋兄はエンジンをかけるでもなくシートに身体を預けて前方を見ていた。
「さっき、詳細までは言わなかったけど、本当に彼女に近づくことは容易じゃなかったんだ。距離を取った栞ちゃんは正解。若槻と蒼樹は危険を察知すると部屋から出るか、彼女と少し距離を置くようにしてた。……でも、俺は近づきすぎた。……翠葉ちゃん、戸惑うことなく手に取った髪の毛を切り落としたよ。俺が絶句してたら、それじゃ足りませんか、って右サイドの髪まで切ろうとした。笑みを添えられたときにはぞくりとした」
「何か話しでも?」
助手席に置いてあった封筒を手に取りシートベルトに手をかける。
同じようにシートにおさまった秋兄が、「その封筒」と俺が手にした封筒を見ていた。
「あぁ、何、これ」
言いながら中を見ると、
「……何、これ――」
中に入っていたものは人の髪の毛にしか見えなかった。
「翠葉ちゃんの左サイドの髪の毛……。長さにして五十センチ弱。俺が切らせてしまったもの」
秋兄はエンジンをかけるでもなくシートに身体を預けて前方を見ていた。
「さっき、詳細までは言わなかったけど、本当に彼女に近づくことは容易じゃなかったんだ。距離を取った栞ちゃんは正解。若槻と蒼樹は危険を察知すると部屋から出るか、彼女と少し距離を置くようにしてた。……でも、俺は近づきすぎた。……翠葉ちゃん、戸惑うことなく手に取った髪の毛を切り落としたよ。俺が絶句してたら、それじゃ足りませんか、って右サイドの髪まで切ろうとした。笑みを添えられたときにはぞくりとした」