光のもとでⅠ
 何をされたのかわからなかった。でも、引きつる感じがだいぶ軽減された。
 びっくりして顔を正面に戻すと、その人はずらした着衣をきれいに整えくれた。
「どう?」
「……あまり、引っ張られなくなりました」
「それは良かった」
 ポン、と頭に手を置かれる。
「司、もういいぞ」
 真横にいる司先輩に声をかけると、司先輩はもとの姿勢に戻った。
「翠、お礼」
「っ……すみませんっ、ありがとうございますっ」
 なんだか自分の状態にも状況にもいたたまれなくなってくる。
 そんなとき、
「翠葉ちゃん、これからしばらく彼に君の主治医をしてもらおうと思っている。君も全く知らない人のほうが当分はやりやすいだろう」
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