光のもとでⅠ
 でも、こんなにまとまった時間を眠れたのはどのくらい久しぶりだろう。
 そして、地味な痛みはあるものの、全然我慢できる範囲の痛み。
 どうしてだろう――。
 謎だらけの自分の身体を不思議に思っていると、背の高い怖そうな主治医が口を開いた。
「司、そろそろ学校に行かないといけないんじゃないか?」
 先輩は無言で腕時計に目をやり、
「明日また来るから」
 と、立ち上がった。
「おまえ、そんな時間あんのかよ。今年こそ、インハイで優勝目指してんだろ?」
 あ――。
 今日が何日なのかは定かじゃない。
 でも、八月前であることには間違いなく……。
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