光のもとでⅠ
 できるだけコンパクトになれるよう、身を縮めていると、主治医がくつくつと笑いだした。
 小さくなりながら先輩をじっと見ていると、
「少しずつでかまわないから、経口摂取の努力をするように」
「おまえ、俺の仕事取るなよ」
 背の高い主治医に司先輩が頭をわしわしとされ、先輩は煙たがる。
「でもさ、おまえカテキョがあるって聞いたけど? そっちはいいのか?」
 言われた途端に先輩は「最悪」といった顔をした。
 カテキョって……?
 ――あ、家庭教師の略……。
 確か、家絡みの何か、と言っていた気がする。
 先輩、インターハイの前なのに忙しいんだ……。
 だったら、本当にここへは来てくれなくてもいいんだけどな。
 だって、もう病院の中だし。いくら病院が嫌いだからといって、脱走まで試みるつもりはない。
 ただ、まだ家族や大好きな人たちには会いづらいだけ。
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