光のもとでⅠ
「……お忙しいところすみません。御園生翠葉と申します」
『おぉ、俺の患者一号さんな?』
「あの……私の痛み、治りますか?」
 それだけが知りたい。
『完治は難しいかもな。何せ、治療法が確立されてないんだ』
 ……やっぱり。
『でも、痛みを軽減することや防衛策は練れなくもねぇ。こっちの後片付けと入国に手間取りそうだから、しばらくは昇の治療を受けててくれ』
「……はい、お忙しいところ失礼いたしました」
 ピッ、と通話を切って先生にPHSを返す。
 やっぱり、「治る」なんて言葉は期待するだけ無駄だった。
 ズン、と肩に重いものが乗って、そのまま地中深くに押し込まれるかと思ったら、肩に乗ったのは先生の手だった。
「君のここ」
 と、私の頭をツンツン、とつつく。
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