光のもとでⅠ
 入浴が終わると、病室で先生が治療の準備をしていた。
 細い注射とアンプルが複数並んでいる。
 見たところ、注射の針はとても細いものに見えた。
 ベッドに横になり、恐怖を抱きながら注射の針が刺さる瞬間を待つ。
 どんな痛みが来ようと耐える心づもりをしていると、
「そんなに構えなくても大丈夫だ。言ったろ? 採血よりも痛くない」
 そうして刺された注射は、確かに採血よりも痛くなかった。
 ただ、ものすごくたくさん、何度も何度もあちこちに刺された。
 治療が終わっても、この治療なら苦にならない、と思うことができた。
 途中、血圧数値の変動を診つつの治療だったけれど、とくにひどい症状は何もでなかった。
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