光のもとでⅠ
「外はもう暑いかと思いますが?」
 藤原さんが声をかけると、
「屋上じゃなくて中庭。あそこなら日陰があるし体感は涼しく感じられる設計になってる」
 と、有無を言わさず病室から連れ出された。

 病院から借りている着衣は七部袖なので、日差しの影響を考えなくてよさそう。
 一階に着くと、通路脇の待合室は診察待ちの患者さんであふれていた。
 内科の前を通っていくのが近道のはずだけど、先生はそこを通らず整形外科の方から中庭に出る。
「内科の前を通って風邪やいらんウィルスなんてもらったら厄介だからな」
 あ……私に気を遣ってくれたんだ。
「……神崎先生、ありがとうございます」
「……なぁ、紫先生や楓のことはなんて呼んでるんだ?」
「え?」
 なんの話のつながりでこの話題なんだろう……。
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