光のもとでⅠ
「世間話に何があるって……なんだよ、それ。新聞でも読んで時事ネタでも見繕えば?」
 新聞読んで時事ネタ見繕う……?
 それこそどこから出てくる発想だろう。
「明日の天気は晴れだとか、今の政権がどうだとか、ちょっとしたコラムなんかも載ってる。会話のネタには尽きないんじゃない?」
 ぶっきらぼうに言われると、違う声が会話に加わった。
「おい、司……おまえは涼さんとそんな話ばかりしてるのか?」
「きやぁっっっ」
 この人は誰、とわかっていてもその声の低さに驚く。
「翠、気持ちはわからなくないけど、そこまで驚かなくても……」
 だって、こんな低い声には慣れてないんだものっ。
 ベッドの端で縮んでいると、左手を先輩に取られた。
 何も言わないけど、「大丈夫だから」と言われている気がした。
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