光のもとでⅠ
 私の大好きなハーブティー……。
「これ、午前中にお兄さんが届けてくれたの。どっちが飲みたい? 淹れるわよ」
 私は少し悩み、レモングラスとミントが爽やかなハーブティーを選んだ。
 きっと、持ってきてくれたのは蒼兄だろう。
「じゃ、少し待ってて」
 藤原さんが病室を出ると、左サイドの髪に手が伸びる。
「五十センチくらいかな……」
 すぐそこに携帯が見えたけど、手に取ることはできなかった。
 早く謝らなくちゃいけない。できるだけ早くに――。
 そうは思うのに、まだ人と接するのは怖かった。
 今は比較的痛みも落ち着いているけれど、何よりも自分の感情が不安定なのだ。
 そんな状態で謝ったとして、泣き崩れるだけでまともに謝れるとは思えない。
「……言い訳、かな」
 たぶん、秋斗さんに会うのがまだ怖い。
 あの日も、不意に現れた秋斗さんにものすごく動揺した。
 でも、だから……というのは言い訳にはならない。
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