光のもとでⅠ
「しかもそれ……秋斗さんに押し付けちゃった」
 しゃくり上げるものが止まらず、それ以上話すのは無理だった。
「俺の事前情報。アメリカにいるとき、栞から聞かされていたのはさ、秋斗と翠葉ちゃんが付き合ってるって話だった。でも、帰国したら側にいるのは秋斗じゃなくて司ときたもんだ。でも、司とは付き合ってないって言うし……。何がどうなってんだ?」
 何がどうって……。そんなの私が知りたい。
「色々あって……」
 止まらない涙に困っていると、
「ゆっくりでいいから」
 大きな手に頭をわしわしと撫でられた。
 その手はナールコールに伸び、「清良女史、茶っ!」とお茶を要求する。
 何もかもが豪快な人だな、と思いつつも私の涙は止まらない。
 よしよし、と撫でてくれる仕草も、蒼兄や唯兄と比べると豪快で、でも、不思議と安心感を得られた。
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