光のもとでⅠ
「どうしま――翠葉ちゃんっ!?」
 ……楓先生の声。
 ゴホッ――。
 口の中に血の味がして、口もとを押さえた手を見ると、そこには少量の血が付いていた。
「楓、悪い。この子すぐに横になれるとこ連れていって。俺、涼さん呼んでくる」
「わかりました」
 そのあとはされるがままに運ばれ、口の中をすすいでからどこかの処置室に横になっていた。
 少し急いでいる足音がふたり分近づいてきて、カーテンが開けられる。
「少し落ち着いたか?」
 昇さんに声をかけられ、
「はい、すみません……」
「こちら、藤宮涼(ふじみやりょう)医師。楓と湊と司の親父さんだ」
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