光のもとでⅠ
「何かストレスになるようなことでもありましたか?」
「いえ……」
 私が反射的に答えると、
「狼少年」
 壁に寄りかかる昇さんから鋭い視線と一言が飛んでくる。
「「はい?」」
 楓先生と涼先生が声を揃えて昇さんに視線を向ける。
「悩みの根源を俺がつついたから戻したんですよ」
「昇さんっ、姉さんから刺激を与えるなって言われてたでしょうっ!?」
「バカヤロ、腫れ物に触るように接してるから、いつまでたっても悩みが解決できねーんだろうが。悩みを放置して時間が解決してくれることもある。でも、正面切って向かい合わないと超えられない壁だってあんだよ」
 それは楓先生に向けられた言葉ではなく、私に向けられたものだと思った。
「楓先生、昇さんは悪くない。間違ってない……」
 それだけは言わなくちゃいけない気がした。
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