光のもとでⅠ
 怖いけど……でも、怖いからといって逃げてばかりでもだめで――。
 人と関わるのは難しい。人と接するのは難しい。
 すごく難しいけど、目を背けていたら何も進まないのかもしれない。
 お父さんやお母さんを傷つけたくないから、というのは本音。
 でも、言ったあとに自分が絶対に後悔するのがわかっているから言いたくない。側にいられると困る。
 ――これは自己防衛……。
 難しい……。
 側にいられたら傷つけちゃうかもしれないのに、遠ざけることはそれ以上にひどい行動だなんて……。
 難しいよ……。
 悶々と考えているうちに、九階の病室へと着いていた。
「翠葉ちゃん、そんなに考え込まなくても大丈夫だから」
 楓先生が優しく声をかけてくれた。
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