光のもとでⅠ
「私は真っ直ぐ以外の受け止め方をして、よく捻くれてるって言われるわ」
 薄く笑うと、藤原さんは病室を出ていった。
 今の言葉にはどんな意味があったのかな……。
 ぼーっとピルケースに入った薬を見ていると、開いたままのドアをコンコンとノックする音が聞こえた。
「はい」
 視線をそちらへやると、私服姿の司先輩が入ってきた。
 黒いシャツに濃い目のブルージーンズ。
 いつもと変わらず細身のパンツ。
 先輩にカーゴパンツとかは想像できない……。
「薬……」
 先輩の視線はテーブルの上にあるピルケース。
「お父さんと会ったあとにしようと思って……」
「そう」
 時計を見れば六時五十分。
 あと、十分――。
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