光のもとでⅠ
 エレベーターに乗ると、
「俺、透明人間でいいんだ?」
「……はい。ひとりでがんばってみます。でも、だめだったら助けてください」
「了解」
 エレベーターが屋上に停まり、ドアが開く。
「先輩……」
 肩越しに後ろを向く。と、「何?」という感じで私を見ていた。
「ありがとうございます……。側にいてくれて、ありがとうございます」
「……そう思うなら敬語やめて」
「え……?」
 外に出る目前の自動ドアが開く。
 稜線には沈みきってしまった太陽の残光があり、陰影がとてもきれいだった。
「せめて夏休みの間だけでも。……ここは学校じゃないだろ?」
 つまり、敬語を使わなかったとしても年がばれることはない、だろうか。
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