光のもとでⅠ
10
十を数え終わると、ブン、と音がした。
顔を上げると、十メートルほど先にある自動ドアが開いたところだった。
そこには淡いパープルのシャツを着たお父さんがいて、外に出るとこちらに向かって真っ直ぐ歩いてくる。
久しぶりに見るお父さんは、少し日焼けしているように見えた。
「翠葉」
名前を呼ばれ、「お父さん」と私も口にする。
「具合はどう?」
「ん……大丈夫」
「そう」
お父さんは私の隣まで来ると、花壇に腰を下ろした。
「お母さん、元気……?」
「ん~……何か聞いた?」
聞いたと言えばいいのに、どうしてか言えなくて。
黙りこんでしまう自分が嫌……。
顔を上げると、十メートルほど先にある自動ドアが開いたところだった。
そこには淡いパープルのシャツを着たお父さんがいて、外に出るとこちらに向かって真っ直ぐ歩いてくる。
久しぶりに見るお父さんは、少し日焼けしているように見えた。
「翠葉」
名前を呼ばれ、「お父さん」と私も口にする。
「具合はどう?」
「ん……大丈夫」
「そう」
お父さんは私の隣まで来ると、花壇に腰を下ろした。
「お母さん、元気……?」
「ん~……何か聞いた?」
聞いたと言えばいいのに、どうしてか言えなくて。
黙りこんでしまう自分が嫌……。