光のもとでⅠ
 でも、つらくてもなんでも、何度でも口にして、私は自分に刻み付けなくちゃいけない。
「教えてくれた人がいるの。私は人を傷つけたくないって言ってて、実は自分が傷つくのも嫌なんだって。それは自己防衛だって。自己防衛で人を遠ざけたら、その人たちはその時点で傷を負うって……」
「……そうか」
 お父さんは私の両手を掴むと、まるで祈りでも捧げるかのように、そこに自分の額をつけた。
「翠葉、幸せか……?」
 幸せ――。
 幸せ、とはなんだろう。
 でも……。
「私は幸せだよ」
 それは間違いじゃない。
 私を思ってくれる家族がいて、友達がいて、心配して手をつないでくれる人がいる。
 それは絶対に普通のことではなくて、幸せなことだと思うから。
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