光のもとでⅠ
「こんなふうに治療を受けなくちゃいけなかったり、身体がつらくても、か?」
「……この身体じゃなかったら、なんて考えても何があるのかわからないんだよ」
 それは本音だった。
 もし自分がものすごく元気な身体だったら……?
 みんなと一緒に体育をしている自分がいたとしたら……?
 そんなことは考えてみても想像ができない。わからない。
 どんな自分がそこにいるのか。どんな自分になっていたのか――。
 今の私がいるのはこの身体があってこそなのだ。
「"もしも"って言葉を使ったら怒りそうな人がいる」
 少しだけ真裏に座り込んでいるツカサのことを思いだした。
「"もしも"なんて非現実的なことを考える時間があるなら、これからを考えろ、って言われそうなの」
 お父さんが顔を上げて、「え?」って顔をする。
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