光のもとでⅠ
「でもね、もし……またすごく痛くなったら、やっぱり抑制できない感情が出てきちゃうと思うの。そしたら――どうしたらいい?」
「……そしたら、口にしてしまえばいい。それを我慢したら翠葉もつらいし、また遠ざけられてもな、周りもつらいからさ」
「それで、いいのかな……?」
「言われたほうが楽なこともあるんだ」
「……じゃ、そのときは本当に覚悟してね? 私も傷つくから、だから……一緒に傷ついてくれる?」
「……変な娘だなぁ」
 お父さんは困った顔で苦笑した。
「そこらの子はさ、反抗心だけで口答えするし、言う前からそんな前置きはしないもんだぞ?」
「だって、事情が違うもの……」
「そうだけどな……。もう少し奔放に育ってくれても良かったんだけどなぁ……」
 十分奔放に育ってると思うんだけどな……。
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