光のもとでⅠ
 桃華さんは蒼兄から連絡を入れてもらえれば助かるな。
 そうすれば、必然的に佐野くんたちにも連絡が行くだろう。
 問題は秋斗さんだけ――。
 この人だけは自分から連絡しなくちゃいけない気がするし、会ってそれで終わりというわけにはいかない。
 司先輩――ツカサは相談にのってくれるかな。
 今日も来てくれるのかな。
 来なかったら、電話してもいいかな……。

 治療が終わり、いつものように音楽を聴きながらお昼までを過ごす予定だった。
 そんなに怖いことじゃないとわかった今でも、家族に会うのも栞さんたちに会うのも少し緊張している。
 だから、ずっと携帯の録音データを聞いていた。
 そして気づいたときにはバッテリー残量がゼロになってしまった。
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