光のもとでⅠ
「狸はどうせうちの父親でしょう?」
 湊先生がため息と一緒に口にする。
 涼先生が狸……?
「昇さん……麗しすぎて狸には見えないのですが」
「いや、中身の話だ」
 真顔で返されて、どう答えていいのか迷った。
 そんな中、治療が始まる。

 治療が終わったあと、絶対に休むどころではないと思っていた。
 でも、充電が終わった携帯から流れてくるツカサの声を何度か聞いたら、そのまま眠ってしまったみたい。
 あの声は精神安定剤なんてものよりも、もっと高価なものなんじゃないかと思い始めている自分がいた。
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