光のもとでⅠ
「これなら食べられるんじゃないかと思って、静に頼んで作ってもらったんだ」
テーブルに置かれたのはウィステリアホテルのケーキボックス。
「お父さん……ケーキは――」
テーブルから身を引くと、
「ケーキじゃないんだ。桃のシャーベット」
え……?
「藤原さんが、毎日いろんな果物の香りを病室に持ち込んでいたそうだよ。それで、桃とメロンは大丈夫みたいだって教えてくれてたんだ。柑橘系はすぐに顔が真っ青になるって言ってたかな?」
嘘……。
「無理なら食べなくていいのよ?」
お母さんがケーキボックスを開くと、シンプルなグラスカップにシャーベットが入っていた。
蓋を開けるその瞬間までドキドキしていたけれど、漂ってくる自然な甘い香りに吐き気は感じなかった。
テーブルに置かれたのはウィステリアホテルのケーキボックス。
「お父さん……ケーキは――」
テーブルから身を引くと、
「ケーキじゃないんだ。桃のシャーベット」
え……?
「藤原さんが、毎日いろんな果物の香りを病室に持ち込んでいたそうだよ。それで、桃とメロンは大丈夫みたいだって教えてくれてたんだ。柑橘系はすぐに顔が真っ青になるって言ってたかな?」
嘘……。
「無理なら食べなくていいのよ?」
お母さんがケーキボックスを開くと、シンプルなグラスカップにシャーベットが入っていた。
蓋を開けるその瞬間までドキドキしていたけれど、漂ってくる自然な甘い香りに吐き気は感じなかった。