光のもとでⅠ
「浴室までは車椅子ね」
 と、車椅子を用意され、それに自分で移ると、
「立てるの?」
 お母さんに驚かれた。
「うん、歩くこともできるよ」
 それすら信じられないという顔だった。
 それは蒼兄も同じで……。
 改めて、人のことを言えないくらいに自分が痩せてしまったことに気づく。
 お風呂といってもお湯に浸かれるわけではない。さすがにそこまでは許されない。
 でも、シャワーが浴びられるだけでも十分だった。
「じゃ、いってくるね」
 そう言って、藤原さんと病室を出た。
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