光のもとでⅠ
 ひとりでお風呂に入るとはいえ、藤原さんは脱衣所で待っていてくれる。
「ご家族と普通に話せた?」
「はい、すごく緊張したけど大丈夫でした」
「ふふ、マックスの脈拍百を超えてたわ」
「……そのくらい緊張してたんです」
「でも、今はいい顔してるわ」
「なんだか色々とすみません……」
「別にかまわないわ」
 お風呂上り、藤原さんに渡されたものがあった。
「これ、栞ちゃんから。カップ内臓のキャミソールですって」
 お母さんが用意してくれたのは家で来ているルームウェアだ。
 確かに、ブラも何もつけずにこれを着て人前に出るのはどうかと思う。
 でも、カップ内臓のキャミソールを着てならそんな心配もない。
「栞さんにお礼言わなくちゃ……」
< 2,013 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop