光のもとでⅠ
今歩いてきた廊下を戻り、エレベーターホールへ向かう。
さっきはお母さんと蒼兄を送るために歩いた道。秋斗さんと歩くだけで全然違う場所に思えた。
「翠葉ちゃん、知ってる? 十階は、藤宮の人間か、藤宮とごく親しい人間しか入れないって」
それは藤原さんから聞いたことがあった。
恐る恐る秋斗さんの顔を見上げると、
「翠葉ちゃんは俺の大切な人だから」
秋斗さんはにこりと笑った。
まるで邪気のない笑顔。
でも、今まで私に向けられていた笑顔とは全く異なるもののように思えた。
どこが、なんてわからない。
何が、なんて言葉にできない。
エレベーターに乗ると、近すぎるほどに顔を近づけられる。
さっきはお母さんと蒼兄を送るために歩いた道。秋斗さんと歩くだけで全然違う場所に思えた。
「翠葉ちゃん、知ってる? 十階は、藤宮の人間か、藤宮とごく親しい人間しか入れないって」
それは藤原さんから聞いたことがあった。
恐る恐る秋斗さんの顔を見上げると、
「翠葉ちゃんは俺の大切な人だから」
秋斗さんはにこりと笑った。
まるで邪気のない笑顔。
でも、今まで私に向けられていた笑顔とは全く異なるもののように思えた。
どこが、なんてわからない。
何が、なんて言葉にできない。
エレベーターに乗ると、近すぎるほどに顔を近づけられる。