光のもとでⅠ
 緊張して身体が強張り、耐えかねてぎゅ、と目を瞑った。
「大丈夫だよ」
 秋斗さんはクスリと笑う。
「エレベーターには監視カメラがついている。そんなところではキスなんてしないよ」
 エレベーターのドアが開き、降りるように促される。
「でもね、ここは少し違うんだ」
 エレベーターホールの前にはガラス張りのドアがあった。
 入り口には物々しい監視カメラがついており、自動ドアは暗証番号をパスしないと開かないらしい。
 そこを抜けると正面には待合室のようなロビーがあり、病室へ続く廊下は左右に分かれる。
 右側は普通の病室があるような廊下。左側はさらにセキュリティが敷かれていた。
 ひとつ目の部屋で指紋認証をパスし、ふたつ目の部屋で声紋認証、三つ目の部屋で網膜認証――それらをパスしてドアが開く。
< 2,039 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop