光のもとでⅠ
 何、ここ――。
 九階の病室とはまた異なる重厚感溢れる空間が広がっていた。
 それはウィステリアホテルの廊下と見間違える様相を呈している。
 インテリアが異なるというよりは、質が異なる。
 床はきっと大理石……。照明カバーに使われている素材も見るからに高そうだ。
 そんな廊下を歩きながら、
「そこが警備員が詰める部屋。ここがナースセンターの代わりになる場所。翠葉ちゃんの使う部屋は現会長が奥さんのために改装した部屋だ」
 そう言って通されたのは、病室とは呼べない一室だった。
 九階の病室とは意味合いもランクも異なる気がする。
 九階の病室はそれでも病室に見えたのだ。でもここは――。
 クローゼットもチェストも、何もかもがこの部屋のために設えられた感じ。
 フルオーダー――そんな言葉が頭をよぎった。
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