光のもとでⅠ
 秋斗さんは変わらず笑顔だ。
 笑顔なんだけど、でも……。
 藤原さん、早く来てっっっ――。
「さ、ベッドに横になって」
 横になる気にはなれなくて、ただ浅く腰掛ける。と、
「俺の母親も司たちの母親も、この部屋で出産したんだよ。帝王切開にならない限り、この部屋で産むことができる。そういう設備が整えられている。……いつか、翠葉ちゃんがこの部屋を使うことになると嬉しいね。もちろん、俺の子どもを産むために」
 恐怖を覚えた直後、一瞬で唇を奪われた。唇が離され、
「まだ足りない……」
 ボソリ、と零す秋斗さんの背後から、カツカツカツカツ、とヒールの音が近づいてきた。
「御園生さん、あの荷物を全部運ぶのにはちょっと時間がかかるから明日にするわ。とりあえず、これだけあれば大丈夫かと思って」
 と、タオルや携帯のバッテリー、基礎体温計が入ったミニバッグを見せてくれる。
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